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 21日、二十四節気の8番目、夏を6つに分けたうちの2番目の節気「小満」を迎えた。二十四節気の中で、唯一植物の生長の状態から名前が取られた節気だ。

 中国の農家の間には、「小満になると、麦の実が少しずつ大きくなる」という言葉があるように、この頃から、夏に収穫期を迎える作物が成長し、大きな実をつけて、弾けそうなほどに「満ちる」ようになる。ただ、そうなるまでにはまだもう少しかかるため、「小満」と呼ばれている。

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 「小満」を迎えると、気温が目に見えて上昇し、雨も多くなり、ジメジメした蒸し暑い夏が到来する。農家にとって、「小満」は、忙しい時期となり、その名前には「豊作」を願う思いも込められている。田植え、麦の世話、菜の花の収穫、蚕の養殖など、この時期になると、農家は繁忙期となる。

 二十四節気を見ると、「小暑」の後は「大暑」、「小雪」の後は「大雪」、「小寒」の後は「大寒」となっている。

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 しかし、なぜ「小満」の後に「大満」はないのだろうか?

 実は、「小満」には、中国文化の知恵が詰まっている。

 中国伝統文化には、考えや行動が中立であることを意味する「中庸之道」という思想があり、「満々」や「大満」は禁物だ。

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 「あまり自信たっぷりでは損を招き、控え目の方がかえって得をする」や「満月が欠け始めるように、物事は絶頂期に達すると下り坂に向かう」という古くからの言葉があるように、物事は極点に達すると必ず逆の方向へ向かい、幸せが頂点に達すると悲しいことが始まるもので、どんなことでも「満々」であってはならないのだ。

 ノーベル文学賞受賞者の莫言はかつて、「世界で、最も忌み嫌うべきことはパーフェクト。月を見るといい。満月になるとすぐに欠け始める。木に実った果実は、熟すとすぐに落ちる。どんなことでも、少しだけ欠点を残しておかなければ、長続きしない」と語った。

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 どんなことでも、頂点に達すると、反対の方向に向かって進み始め、一つのことが盛んになると別のことが鎮まり、一つのことが鎮まると、別のことが盛んになるものだ。

 つまり、最も勢いのある時は、衰退に近づいているということだ。

 食事は腹七分、お茶は湯のみに7分目と言うように、どんなことでも「少し足りない」程度がもっともいいというのは、古代の人々が私たちに伝えてくれている知恵にほかならない。

作者:編集:崔煜

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